自律型移動ロボットアプリケーションの普及は避けて通れないトレンド
印象的に残るスタイリッシュなデザインと優れたコンピューティング能力の完璧な組み合わせを提供する、ハイエンドの第6世代インテル® Core™ i7/i5/i3プロセッサをベースとしたEC70A-SU/EC70A-KUシリーズは、ファンレスのコンパクトな筐体で優れた処理能力を実現します。これは最新の自律型移動ロボット(AMR)など、スペースが限られた演算負荷の高いソリューション向けに設計されています。
地域:ヨーロッパ
国:デンマーク
アプリケーション:輸送用AMR
ソリューション:DFI EC70A-SU/EC70A-KUシリーズ
近年、人工知能アプリケーションの普及や24時間体制グローバル物流の発展に伴い、電子商取引や製造業を中心とした産業における移動ロボットの需要が高まり続けています。
新型コロナウイルス感染症パンデミックの影響を受け、人々は感染を恐れて外出を避けています。大手電子商取引企業は、電子商取引の注文が急増しているだけでなく、自律型移動ロボット(AMR:Autonomous Mobile Robot)や無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)の導入を拡大する必要があります。
パンデミックによる労働力不足の拡大によって、主要経済圏には製造及びサプライチェーンの再計画が求められており、生産の近接化、人的資源の削減、生産効率の向上などの様々な考慮点を踏まえ、ロボット産業の成長が必然となっています。2020年には移動ロボットの市場収益は25%増、2021年には50%増となることが見込まれています。2024年には世界の移動ロボット市場の収益は87.9億米ドルに達し、そのうち製造業からの投資額が約50億ドルとなります。
AMRは、AGVのように事前に計画された環境(工場の建て替え、軌道の敷設、床面の平準化など)に導入する必要がなく、全体の導入コストが比較的低く済み、また、運用を一時停止させる障害物などの不測の事態にも容易に対応できます。このため、自動運転車向けのナビゲーション技術の進歩に伴い、自律誘導機能、マシンビジョン機能、地図再構成機能を備えたAMRは、GPSと事前にインストールされた地図を装備したオートマ車に相当し、最も有効な経路を自動的に判断して障害物を回避することができます。また、倉庫の状態が悪く地盤沈下が激しい地域では、AMRの障害物回避能力と環境適応性が必要とされます。このように、アプリケーションデプロイメントの高い柔軟性によって、AMRは製造業、物流および倉庫業、医療などの分野で優先的に採用される製品となっています。
よりスマートなロボットにはより信頼性の高いコンピューティングブレインが必要
しかし、AGVよりもスマートなAMRは、より強力なコンピューティング性能、より多様なセンサーの統合、多様な環境に耐える耐久性を必要とします。
全体として、その制御ユニットは以下の条件を満たす必要があります。
●高性能。
○既製のロボットソフトウェアに十分な性能を持ち、将来のソフトウェアアップグレードに対する余裕を確保している。
○測位と地図再構成アルゴリズムのリアルタイム計算が可能。
●完全なI/Oインターフェース。
○幅広いセンサーとアクチュエータを簡単に統合できる。
○デプスカメラからの高速ビデオストリームやLiDAR(Light Detection And Ranging)からのデータストリームを受信できる。
●低消費電力。
○バッテリーの動作時間を延長。
○頻繁な充電によるバッテリーの損失を軽減する。
●過酷な環境への耐性。
○広範囲の温度環境で長時間動作でき、信号干渉と移動中の振動に耐えることができる。
○より長い平均故障間隔(MTBF)、より低い平均故障時間(MTTF)、より短い平均復旧時間(MTTR)。
●堅牢な無線ネットワーク。
○データと制御コマンドの安定した信頼性の高い伝送。
○便利なセルフテストとリモートトラブルシューティング。
●小型サイズ。
○システム統合を容易にする。
○ロボットメカニズム設計の柔軟性を向上する。
近年、インテルNUC(Next Unit of Computing)が小型コンピューターのトレンドを牽引し、一部のロボットメーカーでは製品開発の初期段階における最初の選択肢となっています。しかし、アプリケーション指向のNUCやパーソナルコンピューター向けの類似製品では、次のような要件を満たすことができません。
● 高い信頼性と長いライフサイクル。
● 人気のレーザースキャナー用RS-422など、複数のセンサーインターフェース。
● 振動や信号干渉による性能低下がない。
ARM命令セットアーキテクチャ(Nvidia Jetson Xavierなど)を搭載したシステムオンチッププラットフォームを採用した場合、パフォーマンスボトルネックにより需要の変化に迅速に対応することが難しくなります。このためロボットには、x86エコシステムと成熟したソフトウェアリソースを活用して、信頼性と耐久性を確約し、動作効率を向上させ、総保有コスト(TCO)と資本的支出(CAPEX)を削減するために、産業用コンピュータレベルの制御ユニットが必要です。